Mar.31.2022
/ 一生モノ
デザイナーの自分が本当に欲しい無垢ワークデスクを作る Vol.01 [オーダー家具]

あっ!
そう気づいたのは、デザイナーという仕事を初めて10年が経過した1月でした。くる日もくる日もPCに向かい、天板がメラミン化粧板のよくあるワークデスクで仕事をしていました。
私は、デザインを考える上で、手触りというかテクスチャのようなイメージが初めにあり、だんだんビジュアルになっていく感じなのですが、いつもこの過程でストレスを感じていたのです。それは「産みの苦しみ」とずっと思っていたのですが、その日は違いました。ふとマウスを持つ右手に目をやると、「あっ」と気づいてしまったのです。
私の右手は、ずっーと(1日12時間以上も)、命がない素材(メラミン)の天板に触れていたのです。その冷たく、命のないドライな感じが、自分自身とてもストレスに感じていたことを・・・
それから、私は自分が納得できるワークデスクを探すため、休日に様々なインテリアショップや家具店に足を運びました。また、ネットで検索をして、「本当に欲しい!」と思えるワークデスクを探しました。
しかし、素材やデザイン、製品の持つ魅力?(雰囲気)が何か違っていたのです。
ワークデスクを探して3ヶ月が過ぎ、疲れて半ば諦めていました。でも1日12時間以上、このまま仕事をしたとしたら、人生の半分を一緒に過ごすワークデスクだと思うとどうしても諦めきれませんでした。
そこで、私は決心しました。「作ろう!」と。大学で建築を専攻しCADも出来たので、どうせなら「一生使えるワークデスクを作ろう」とこのプロジェクトをスタートさせました。
様々な素材を触り、どれが一番、私自身ニュートラルでいられるのかを検討しました。答えはすぐに見つかりました。やはり人間は「木」(無垢材)です。同じ木でも、表面の数ミリだけの「突き板」と呼ばれるものは、長時間触れていると、なぜか気持ちが良くないのです。やはり、中まで全てが木の「無垢材」にたどり着いたのでした。
木の種類は何にするか?
無垢材といっても、木目や色、硬さで様々なものがあります。好きな木を調べていくと、結構奥が深い!
[ナラ(楢)、ミズナラ (水楢)]
学名:Quercus crispula
品種:ブナ科コナラ属 落葉広葉樹
比重:0.67
産地:
北海道から本州、四国、九州に生育。樺太、千島にも分布。南限は鹿児島県高隈山。ロシア、モンゴル、中国にも分布。中国産、ロシア産が主に使用されています。

特徴:
ナラは、クヌギ、ブナなどとともに「ドングリのなる木」として親しまれています。成熟した森の仕上げに生える主役的な存在の木で、他の樹種を寄せつけない強い生命力で、豊かな森を作ります。北海道産のナラは、数ある広葉樹の中でも最高級材として珍重され、ヨーロッパをはじめとする世界各国へも盛んに輸出。「ジャパニーズオーク」として盛名を馳せました。近年では国産ウイスキーの熟成樽としても利用されており、国際的に高い評価を受けています。
現在、国内で流通している大半はモンゴリナラです。国産材と見分けはつきにくいです。
ナラは、優しく力強い印象の木目は、和洋問わずあらゆる空間にマッチします。板目では、力強い精悍な木目が表れ、ナラ材独特の木目を見せてくれます。一方、柾目で材を取ると穏やかで優しい印象です。たまに「虎斑紋」(シルバーグレイン)という虎の背中の縞模様に似た銀色に輝く木目が表れることがあります。これも無垢材の個性として楽しむことができます。
[ウォールナット]
学名:Juglans nigra
品種: クルミ科クルミ属 落葉広葉樹
比重: 0.63
産地:
米国東部全域に分布。主産地は米国中部。
アメリカ東部~中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生。厳しい寒さのもとで時間をかけて生長。

特徴:
チークやマホガニーと共に世界三大銘木の一つに数えられています。
北欧材随一の人気を誇ります。表面の仕上がりの色のおちつきと光沢のよさ、重厚な木目と高級感は他の追随を許さない。硬く加工後の狂いが少ないため、昔は飛行機のプロペラに使われていました。今では、ライフルの銃床や楽器(ピアノなど)にも使われている高級材。初めのうちは、濃い茶色、そして時間の経過とともに、明るく落ち着いた茶色へと変化します。使い込むほどに味わいが出てきます。
現在利用されている木材の中では、最高ランクの評価を得ている。そのため、「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、家具や高級車のウッドパネルなどに使われている。
[チェリー(ブラックチェリー)]
学名:Prunus serotina
品種:バラ科サクラ属の広葉樹
比重:0.55
産地:アメリカ東部全域(ペンシルバニア、バージニア、ウエストバージニア、ニューヨークの各州)

特徴:
日本のさくらんぼより大きい赤黒い実は果実として有名。
辺心材の区別は明瞭で、辺材は黄白色から乳白色、心材は淡い紅褐色から濃い紅褐色を呈する。使い込むほどに飴色に変色し、高級感がある。使い込むほどに飴色に変色するのが特徴。年を追うごとにどんどん色が変化して行きます。生きている木を使っているという実感を感じられる木材です。
[サクラ、ヤマザクラ、シウリザクラ]
学名:Cerasus jamasakura
品種:バラ科 サクラ属 広葉樹
比重: 0.74
産地:本州、四国、九州、朝鮮にも分布

特徴:
材質は粘りがあって、加工が容易で表面がきれいに仕上がります。それを活かして版画の台木に使われました。江戸時代の浮世絵や書籍の印刷用の版木はほとんどヤマザクラだったそうです。やや硬めの材質で、木目が細かく、目が詰まっています。硬い割に、感触が良く、木のぬくもりが楽しめます。材中にピスフレッタという膿色の斑点が出るものもよく見られます。優しい木目と色合いで、女性的な印象の木です。
[クルミ(胡桃)]
学名:Juglans mandshurica subsp. sieboldiana
品種:クルミ科クルミ属(落葉広葉樹)
比重: 0.53
産地:北海道から本州、四国、九州に自生。また、樺太にも分布する。主に、山中の湿地に生え、あまり大径木にはならない。

特徴:
心材はわずかに紫~赤の入った褐色。辺材は淡褐色(時に灰色を帯びる)。
心材と辺材の色の差は明確で年輪は不明瞭。木肌はやや粗いが、表面仕上げは良好。加工がしやすいのも特徴。粘りがあり、狂いは少ない。 人気のウォールナット材と同じ、クルミの仲間ですが色味は淡く、落ち着いた材色です。 木目のコントラストも強すぎず、優しい風合い。オイルフィニッシュで美しいツヤが出る
[クリ(栗)]
学名:Castanea crenata
品種: ブナ科クリ属の落葉広葉樹
比重: 0.63
産地:北海道西南部から本州、四国、九州に生育。

特徴:
辺材が狭く、褐色を帯びた灰白色、心材は褐色の木材。タンニンを多く含み、年数が経つと徐々に濃くなり栗色から黒褐色に変化するのが特徴。年輪は明瞭で重硬で弾力があり、水湿によく耐え材の保存性が高い。加工はやや難しい。
優しくも力強い木目がはっきり出るので、どことなく和の雰囲気も感じさせます。
やはり、こだわりの無垢材を選べるのがいい
色や木目の雰囲気、手触りなど千差万別です。
デザイナーそれぞれの好みに応じで、選べる様にしなくてはいけないと思いました。
ちなみに、個人的には「チェリー」と「ナラ」が自分に合っていると感じました。
チェリーは、他の材料に比べて色の変化が早く、数年で飴色になるところと、きめ細やかな手触りがGOOD。
ナラは、密度の高い重厚感と明るい、爽やかな色合いが空間をナチュラルにしてくれます。
ゆっくり落ち着いた雰囲気で仕事をしたい時には「ウォールナット」がいいのではないでしょうか?