Mar.31.2022
/ 一生モノ
エメラルドグリーンに輝く湖 クロアチアのプリトヴィッツェ湖群国立公園

世界にはさまざまな“絶景”がありますが、今回紹介するのは色の鮮やかさが際立った美しい湖水群です。ミネラルを含んだ水が沈殿して作る「石灰華」と呼ばれる白い石の結晶が、石灰棚や青や緑の色をたたえた湖を作り出します。クロアチアにあるプリトヴィッツェ湖群国立公園を訪れた時、私はその色彩に目を奪われました。目の保養に美しい景色を見る、それも“一生モノ”の旅になるでしょう。
カルスト地形が創り出した湖水群
中央ヨーロッパのクロアチアからスロベニアにかけ、カルスト地形の山岳地域があります。そこにある「プリトヴィッツェ湖群国立公園」は、長い年月をかけて川が大小の池や滝を作り出した渓谷です。カルスト地形から染み出した水は、多くのミネラルを含んでいます。これが川の流れに乗って運ばれていく途中、少しずつ川や湖の底に沈殿していき、高い透明度の湖を作り出しました。プリトヴィッツェには全部で大小16の湖と90以上の滝があり、その間をつなぐように遊歩道が通っています。湖の周りには木々が茂り、春には新緑、秋には紅葉が楽しめ、多くの観光客がやって来ます。その美しい景観から、1979年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。

公園内には2つのハイキングコースがある
私がこのプリトヴィッツェを訪れたのは、8月の観光シーズンの真っ盛り。クロアチアの首都ザグレブからバスで日帰りもできますが、せっかくなので園内のホテルに1泊することにしました。
公園内には、大きく分けると2つのハイキングコースがあります。チケット売り場から南にある「上湖群」と、北にある「下湖群」です。所要時間は上湖群が2〜3時間、下湖群が3〜4時間。日帰りの人は下湖群だけ回るようです。私は1泊したので、初日の午後に下湖群、翌日の午前に上湖群というスケジュールで回りました。できれば両方回りたいところですが、時間がないのであれば大きな滝がある下湖群がおすすめです。冬季は上湖群のコースは閉鎖されます。
入園チケットには、園内を行く電動バスとボート料金が含まれています。時間のない人はそれらを利用すると、30〜40分は時間を稼げるでしょう。

ボートに乗り下湖群のハイキングコースへ
入り口から森の中を歩いてボート乗り場に向かいます。船着場に着くと、エメラルドグリーンに輝く湖がいきなり目に飛び込んできました。湖の名物のマスの群れが泳いでいます。まずはここからボートを乗り継ぎ、終点へと向かいます。このコジャク湖は公園で一番大きな湖で、全長2.3km。ボートに15分ほど乗り、終点の船着場から下湖群のハイキングコースを歩きました。滝の上を行くルート、川や湖沿いに行くルートなどいくつかコースがありますが、つながっているので途中でコースを変えることもできます。小さな湖には木製のボードウォークもあり、アップダウンも少ないので歩いていて気持ちいいですよ。ただし人がすれ違えるほどの幅しかないので、景色がいいところでは時おり“撮影渋滞”も起きていました。湖の水は驚くほど澄み、泳いでいる魚や湖に沈んでいる倒木もよく見えました。次々に風景が変わっていくので飽きることはないですね。一番奥には、公園のシンボルでもあるプリトヴィッツェの滝が流れていました。

名物のマスのグリル
夕方になると、急に人の姿が減っていきます。日帰りで来ている人たちが多いのでしょう。開園時間は、夏は20時まで。ただし電動バスやボートの運行は19時までなので油断せずにご注意ください。夕食は公園内のレストランで取りました。同じ場所にカフェ、セルフのカフェテリア、レストランの3つの施設があり、予算に応じて利用できるようになっています。私は、名物のマスのグリルをいただきました。おいしかったですよ。また、静けさが漂うレストランの雰囲気も忘れられません。周りは山で、本当に自然の中に来ていると実感しました。
近年、日本人旅行者も増えてきているクロアチアですが、まだまだこのプリトヴィッツェ湖群国立公園に行く人は多くはないようです。しかし、その美しさは特筆すべきものがあるので、機会があればぜひ足を延ばして行ってみてください。“一生モノ”の景色がそこには広がっています。
[ DATA ]
URL( np-plitvicka-jezera.hr/en/ )
開演時間:無休(チケット発券は閉園の2時間前まで)
冬期8:00〜16:00、春期8:00〜19:00、夏期7:00〜20:00、秋期7:00〜19:00
料金:55〜250クーナ(季節により異なる)
アクセス:ザグレブからバスで2〜2.5時間。日中はほぼ1時間おきに運行。