Apr.02.2022

/ 一生モノ

スペインの夜はバルで! 美味しいお酒と小皿料理に舌鼓み

人気のバルは、夕食タイムにはすぐにいっぱいになってしまう

旅の楽しみは人それぞれ違います。ある人は名所・旧跡、ある人はショッピング、ある人はスポーツといろいろあるでしょう。そのなかでも、“食”が大きな楽しみという人も多いでしょう。かくいう私もここ数年、スペインのバル巡りが大きな楽しみになっています。バルは日本でいえばカフェと居酒屋を兼ねたようなところです。そこで食べる、お酒に合うおつまみや小皿料理は、病みつきになるほどおいしいですよ。今回は、そんなスペインバルの様子と料理を紹介します。一度食べれば、絶対また行きたくなりますよ!

スペイルンのバルはどんな感じ?

最近では日本でも増えてきたスペインバル。ただ、スペインではバルはそんなに洒落た店ばかりではありません。基本的には庶民的な店で、ひとつの店が時間によりカフェ、レストラン、居酒屋に変わるという感じです。朝は8時ぐらいからコーヒーやパンの朝食、昼は「メヌ」と呼ばれるランチセット、夜はお酒や夕食を提供します。夕食タイムにはきっちりとした料理を出す店もあれば、「タパス(単数系はタパ)」と呼ばれる小皿料理を酒のつまみに出す店もあります。これは料理かお酒かどちらがメインの店かにもよりますね。また食事の合間の時間でも、「ボカディージョ」というサンドイッチなどの軽食を食べることができます。

まずはバルに入ってドリンクをオーダー!

それではバルに行ってみましょう! まずはスペイン人の生活時間です。ランチタイムは14〜16時、ディナーは21〜23時と日本よりも2時間ほど後ろにずれています。バルにはテーブル席もありますが、安くて美味しい店はカウンターかスタンディングが中心というところも。人気のバルは、夕食時になると入れないくらいぎゅうぎゅうに混むこともあります。店に入ったらまずは店員に挨拶しましょう。特に席に案内されない場合は、自分で空いている席に座ってもOKです。

まずは飲み物からオーダーしましょう。ビールは「セルベッサ Cerveza」、ワインは「ビノ Vino」と言います。お酒に弱い人やグビクビと飲みたい人は、ビールをレモンソーダで割った「クラーラClara」も人気です。あとは、赤ワインをオレンジジュースで割った「サングリアSangria」、カタルーニャ産のスパークリングワイン「カバCava」もスペインではよく飲まれます。

 

「ハモン・イベリコ・ベジョータ」はスペインの生ハムの中でも一番高い逸品で、脂身が口の中で溶けていく

タパスはどうやってオーダーする?

次にタパスです。お酒のつまみになるものが小皿で出てくるという点で、日本の居酒屋に似ていますね。注文は作り置きのものが並んでいる店ならそれを指差せばいいですし、メニューがある店もあります。カウンターなら中の店員に直接、離れていたら店員が近くに来た時に注文すればいいでしょう。おつまみのタパは、ふつうは有料ですが、アンダルシア地方、とくにグラナダなどではアルコールドリンク1杯に対して1つ無料で付いてくるという、お得なバルもあります。

私がスペインに着いたらいつも最初に食べるのがスペイン名物の生ハムです。いろいろ種類がありますが、有名なのは黒豚から作る「ハモン・イベリコJamon Iberico」。とくにドングリを餌にして育てたものは「ベジョータBellota」といい、お値段が高くなります。ふつうのバルであれば、種類はひとつしかないかもしれませんが、オーダーすると、台に固定された脚生ハムの塊をナイフで薄切りにして切り出してくれます。「チョリソChorizo」はハーブやスパイスを加えて作ったドライソーセージで、こちらも切って出してくれますね。

 

スペインのシシトウの「パドロン」を素揚げして塩をかけた「ピミエントス・デ・パドロン」

いろいろ頼んでみたいタパス。何がおすすめ?

どのバルでも見かける定番のおつまみとしては、日本のシシトウに似たパドロンを素揚げにした「ピミエントス・デ・パドロンPimientos de Padron」、かたくちいわしの酢漬けの「ボケロネス・エン・ビナグレBoquerones en Vinagre」などがあり、私もよく頼んでしまいます。

また、お腹にたまるものとしては、軽くトーストしたパンにトマトとニンニクを擦り付けた「パン・コン・トマテPan con Tomate」、コロッケの「クロケタスCroquetas」、ジャガイモなどの野菜が入ったオムレツの「トルティーリャTortilla」などがあります。ただしお店によっては量が多く、これらでお腹いっぱいになってしまうこともありますね。

 

ピンチョスはたいてい作り置きになっていて、注文すると温め直してくれる

タパスの別バリエーション「ピンチョス」

タパスの一種ともいえるのが「ピンチョス」です。「ピンチョ」とは「串」や「楊枝」という意味で、パンに具をのせて楊枝で刺した軽食です。もともとはスペイン北部のバスク地方のスタイルですが、今ではスペイン全国で見られるようになりました。たいてい作り置きになってテーブルに並んでいますが、注文すると温め直してお皿に載せて持ってきてくれますよ。合わせる食材や盛り付けは、店によってかなりバリエーションが異なります。

 

今回はスペインのバルで食べるタパスを紹介してみました。海外へ行く理由はいろいろあると思いますが、私にとって「食」は大きな動機であり楽しみです。旅先で偶然出会った料理が、何十年も経っても忘れられないこともあります。そんな“一生モノの味”を楽しみに、みなさんも旅に出てみてはいかがでしょうか。