Apr.03.2022

/ 一生モノ

東京タワーの3倍!ギニア高地にある世界最大の落差を持つ滝エンジェルフォール

展望台からエンジェルフォールを見上げる

「世界三大瀑布」というと、南米のイグアスの滝、北米のナイアガラの滝、アフリカのビクトリアの滝があげられますが、ほかにもまだまだすごい滝があります。それが南米ベネズエラにある「世界最大の落差を持つ滝」「エンジェルフォール」です。落差979mというと、高さ333mの東京タワーの3倍近くあるということですよね! 私はその滝があることを知ってから、いつか必ず見てみたいと思っていました。そして数年前、念願叶って行くことができたのです。

ギニア高地にある世界最大落差の滝

南米の小国ベネズエラは、その豊富な石油資源から1980年代までは南米屈指の富裕国として知られていました。しかし政治の腐敗、貧富の格差などの問題が山積みし、2000年代に入り超インフレが進行。一気に最貧国の仲間入りをしてしまいます。そのため近年治安が急速に悪化し、私が行った時も良いとは言えませんでした。なのでベネズエラの旅はほぼこのエンジェルフォールに絞り、首都カラカスには泊まらずに、すぐに地方都市へ移動しました。

エンジェルフォールは、ギニア高地のカナイマ国立公園にあります。広大なこの公園へ行く方法は飛行機のみ。私はカラカス空港に着くなり、空港の旅行会社で国立公園へ行くツアーに申し込みました。

ボートに乗り、エンジェルフォールのある上流へ4時間かけて行く

ボートでエンジェルフォールへ

翌昼、カナイマ国立公園に到着後、1泊分の荷物だけ持ってすぐにエンジェルフォールに出発しました。村からエンジェルフォールに行くには、川をボートで行くしかありません。それもボートが通行できるのは、水量が多い6〜11月の雨期の間だけです。私は7月に行ったのですが、それでも途中、水深が浅くて航行できず、陸を歩く区間が30分ほどありました。4時間ほどで、キャンプ地に到着。スタッフが夕食の準備をしている間に、ツアー客は歩いてエンジェルフォールに向かいます。

ボートを降り、ここから1時間ほどジャングルの中の道を歩く

険しいジャングルの道を歩いて滝へ

遠目に見えたエンジェルフォールですが、遊歩道に入るとすぐにうっそうとしたジャングルになり、見えなくなります。石や木の根が露出しているので、歩くのはなかなか大変。湿度が高く、汗だくになって登り道を1時間ほど歩きます。しばらくすると私は先頭グループと後ろのグループの間になってしまい、誰の姿も見えない状態で30分ほどジャングルの中を歩き続けました。一本道なので迷うことはないのですが、ひとりは心細いものです。不安になってきた頃、ようやく滝の音が聞こえてきました。展望台に到着です。

目の前にエンジェルフォールが見えます。念願叶ってようやくここまで来たので感動もひとしおです。ただし確かに滝は高いのですが、いまひとつそれほど高いのかという気もします。というのも、周囲に高さを比較するものがないからです。またあまりにも高いため、落ちてきた水の滝の下1/3ぐらいは水煙となって四散してしまうのです。

滝からの水が川となる場所で泳ぐツアー客

滝の水を浴びた後はキャンプで1泊

展望台からはさらに滝の下まで行く下り道があり、10分ほどで滝の水が川になって流れている場所に到着しました。先に行ったグループはすでに水浴びをしていました。滝の下は滝の水が雨のように降っている状態で、滝壺というものはありません。真下近くは眺めがいいかというとそうでもなく、かなり見上げることになるので、先ほどの展望台の方が眺め的にはベストでした。そしてこの頃には滝の上部に雲がかかり、あまりよく見えなくなっていたのですよね。

帰り道はほぼ下りですが、濡れた岩や木の根があるので上りよりも歩くのが大変。体力がないと厳しいかなと思います。1時間ほどでキャンプ地に戻りました。宿泊所は屋根の下にハンモックが20ほどあるだけです。シャワーは水ですが、汗だくなのでその冷たさも気持ちいいものでした。またガイドさんが作ってくれる食事も、思っていたものよりまともでした。意外なのは、ジャングルなのに夜になっても蚊が少ないこと。熱帯とはいえここが標高1000m近いからかもしれません。翌日は朝早くキャンプ地を出発。今度は下りなので3時間ほどでカナイマ村に戻りました。

セスナに乗り、断崖から落ちる滝を空から眺める

今度はセスナで空からアプローチ

エンジェルフォールの見学はこれだけではありません。私は別料金でしたが、ツアー最終日にエンジェルフォールへの遊覧飛行を頼んでいました。人数が集まり次第催行で、時間ギリギリまで飛ぶかどうかわかりませんでしたが、結局私を含め3人で出発できました。空からエンジェルフォール往復で約45分です。

滑走路をふわりと飛び立ったセスナは、熱帯のジャングルの上を飛んでいきます。ボートからは気がつきませんでしたが、川はジャングルの中をかなり蛇行しています。やがて目の前に、切り立った台地のテーブルマウンテンが見えてきました。セスナは高度を上げ、ギニア高地の雄大な風景を上空から見渡します。私はセスナに乗るのは初めてだったので、新鮮な感動がありました。エンジェルフォール自体は雲がかかってしまい見えにくくて残念でしたが、遊覧飛行そのものは十分満足でした。いつか機会があったら、あのテーブルマウンテンの上に立ってみたいと思いました。

 

行く前はものすごい秘境に行くことを覚悟していたエンジェルフォールですが、ベネズエラ有数の観光地とあり、ガイドさんや観光のシステムもしっかりしていて、カナイマ国立公園内ではストレスなく滝まで行くことができました(むしろ途中の都市部の方が大変でしたが)。それでも人がほとんど入らないエリアに行け、冒険気分が盛り上がりかなり興奮しましたよ。この「世界最大落差の滝」への旅も、私にとっては “一生モノの旅” です。