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サステナビリティ
サステナビリティとは(次世代バイオ燃料・ネイチャーポジティブ)
2025.04.18
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サステナビリティキーワード解説:次世代バイオ燃料

バイオ燃料は「畑で採れる石油」。では、次世代バイオ燃料はどう作られるのか
一昔前のバイオマスは、森林から採った間伐材や製材工場などで発生する端材や樹皮などをペレットにして、寒冷地のストーブの燃料として使うものでした。大きな意味で、バイオ燃料とは、再生可能なバイオマス(生物資源))を原料にした代替燃料を指しますが、エコやサステナビリティに興味がある人には、「トウモロコシから作られる燃料」と言うと理解されます。
現在流通しているバイオ燃料で代表的なものは、ガソリンの代替として、ガソリンと混ぜて自動車などの燃料として使用する「バイオエタノール」が有名です。バイオエタノールは主にサトウキビなどの糖質や穀物の澱粉などから作られますが、この原料は人や家畜の食糧としても使用されているので、バイオエタノールの生産量を増やすと、食糧に回す分が少なくなり、作物価格が上昇するというデメリットがあります。
「バイオディーゼル燃料」は菜種やトウモロコシなどの植物性油から製造され、ディーゼルエンジン用のモビリティに使用されます。「バイオジェット燃料」は微細藻類や木材チップ、製材廃材などから作られる航空燃料です。さらに、発熱や熱供給などに使われるのが「バイオガス」で、家畜の排泄物や生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵させて生じるガスから作られ、主成分はメタンです。
これらのバイオ燃料を使用すると、二酸化炭素の排出削減に繋がるとされ、2020年10月に政府が宣言した「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指す」にも効果があると開発が進められていますが、バイオ燃料は次世代へと進化しています。
2023年3月に、化石由来の軽油に代わる次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」が都内のサービスステーション(ガソリンスタンド)で一般販売されました。サステオは、バイオマスを原料とし、都営バスのエンジンに対して内燃機関を変更することなく使用することが可能な次世代バイオディーゼル燃料です。 第3世代ともいえる「次世代バイオ燃料」は、食料と競合しない炭化水素系のバイオマス原料でできたバイオ燃料の総称で、分子構造が軽油などの石油由来の燃料と同じ炭化水素からなる燃料なので、軽油と同じように100%の配合で、エンジンにも影響を加えることなく使用できると非常に期待されています。
サステナビリティキーワード解説:ネイチャーポジティブ

気候変動対策の影に隠れていた生物多様性にスポットを当てるキーワードが、ネイチャーポジティブ
ネイチャーポジティブ(Nature Positive)は、「生物多様性の毀損に歯止めをかけ、自然をプラスに増やしていくこと」ですが、より具体的には、企業などの経済活動によって生じる自然環境への負荷を抑え、生物多様性を含めた自然資本を回復させることで、従来の生物の多様性を維持することから、さらに踏み込んだ発想です。
生物多様性というと、2021年10月に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第1部の閣僚級会合の成果として発表された「昆明(クンミン)宣言」が有名ですが、「遅くとも2030年までに生物多様性の損失を逆転させ回復させる」というネイチャーポジティブの考え方が詳しく議論されました。 「昆明宣言」は、2010年に採択された「愛知目標」を継ぐ目標で、公表された目標は21項目。
- 2030年までに陸域、内陸水域、海洋・沿岸域の重要地域の30%を保全(30by30)する
- 環境への栄養分流出・農薬リスクを半減する
- 侵略的外来種の侵入を防止する
- 途上国に対する支援策を強化する
- 食料廃棄を半減する
などがターゲット(行動目標)に位置づけられ、企業への要請も数多く盛り込まれました。
しかし、愛知目標の20項目で、一部達成が6項目、未達が14項目という状況で、それを上回る昆明宣言の21項目は非常にハードルが高いと言わざるを得ません。
国連開発計画(UNDP)のアヒム・シュタイナー総裁は、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の合意を歴史的と評し、「生物多様性は、地球上の人間の生活と相互に関連し、絡み合っており、切り離すことはできません。私たちの社会と経済は、健全で機能する生態系によって成り立っています。生物多様性なくして、持続可能な開発はありません。生物多様性なくして、安定した気候はあり得ないのです」と語っています。 昆明・モントリオール生物多様性枠組による2030年目標の採択に加え、2023年9月に控えるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の情報開示フレームワーク公表などを踏まえて、自然資本を回復軌道に乗せようとする取り組みは、企業に生物多様性にかかわる情報開示を、社会が強く要求するようになることも予想されます。