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ブランディング
Webブランディング成功の鍵はPEST分析を活用した戦略的アプローチ
2024.01.12
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PEST分析とは何か?
PEST分析は、マーケティング理論家フィリップ・コトラー氏が紹介した、経営戦略におけるビジネスフレームワークの一つです。このフレームワークでは、企業がコントロールできない外部のマクロ環境を評価し、現在および将来に渡ってその環境がビジネスに及ぼす影響を理解し予測することができます。
PESTとは、分析対象となる4つの環境要因の頭文字を取ったもので、それぞれ政治的(Political)、経済的(Economic)、社会的(Social)、技術的(Technological)です。
Webブランディングやビジネス戦略の策定に広く採用されているビジネスフレームワークです。
政治的要因(Political)
政府の政策、法規制、税制などが含まれます。 例えば、新しい法律が施行された場合、それが御社のビジネスにどのような影響を及ぼすかを考慮する必要があります。政治的安定性もビジネスに大きな影響を与える可能性があります。
経済的要因(Economic)
経済成長率、為替レート、インフレ率などがここに該当します。これらの要因は、市場の需要や費用構造に直接影響を及ぼし、したがって御社の収益性にも影響を与えます。
社会的要因(Social)
人口統計、ライフスタイルの変化、消費者の態度などが含まれます。 例えば、高齢化社会における商品やサービスの需要は、若年層が多い社会とは異なります。これらの社会的傾向を理解することが、市場のニーズを把握する上で不可欠です。
技術的要因(Technological)
新しい技術の発展、研究開発、オートメーションの進展などがここに該当します。技術革新は製品のライフサイクルを短縮する可能性があり、常に最新の技術動向を把握し、それに適応することが求められます。
上記4つの要素を分析することで、外部環境の変化に対してより戦略的に対応することができます。もし新しい政府の政策が導入されたとき、それによって生まれる機会をいち早く捉えたり、リスクを回避したりすることが可能になります。また、社会的傾向の変化を理解することで、新しい市場機会を見出すこともできるのです。
PEST分析はビジネスの舵を取る際の羅針盤のようなイメージです。ですので、自身のビジネス環境を俯瞰的に見ることができ、より深く理解できます。Webブランディングを行う際のスタートといったイメージです。
WebブランディングにおけるPEST分析の活用
Webブランディングは、単に魅力的なロゴやウェブサイトを持つこと以上の意味を持ちます。これは、デジタル世界における貴社のアイデンティティを確立し、競合との差別化を図るプロセスです。ここで重要なのが、PEST分析を用いて外部環境を理解し、それに基づいた戦略を策定することです。
それでは実際に、例を挙げて解説していきます。
政治的要因の活用
デジタル環境では、政府の規制や政策がオンラインコンテンツ、データ保護、プライバシーに大きな影響を及ぼします。
例えば、特定の地域でのデータ保護法が厳格化された場合、それに準拠するためのブランドメッセージやオンライン戦略の調整が必要になるでしょう。
例:
- GDPR(一般データ保護規則)
- オンライン広告とセールスプロモーションの規制
- 輸入関税と貿易制限
経済的要因の活用
経済状況は、消費者の購買力や支出傾向に影響を与えます。不況時には、価値とコスト効率を重視するメッセージングが重要になるかもしれません。また、為替レートの変動は、国際市場での価格設定戦略に影響を及ぼす可能性があります。
例:
- 経済成長率の変動
- 為替レートの変動
- 購買力の変化
社会的要因の活用
社会的傾向、特に消費者の価値観や期待は、ブランドのオンラインプレゼンスを形作る上で非常に重要です。環境意識の高まりや健康への関心など、これらのトレンドを理解し、それに応じたブランドメッセージを展開することが求められます。
例:
- 人口統計の変化(高齢化社会、若年層の増加)
- 消費者のライフスタイルの変化(健康志向の増加、リモートワークの普及)
- 社会的価値観の変化(環境保護への意識向上、ダイバーシティとインクルージョンの重視)
技術的要因の活用
技術進化は、ウェブデザインのトレンド、オンラインマーケティングのツール、顧客とのエンゲージメントの方法を常に変化させます。例えば、モバイルファーストのアプローチ、AIを活用したパーソナライゼーション、バーチャルリアリティや拡張現実を用いたインタラクティブな体験の提供などがあります。
例:
- モバイルテクノロジーの進化と普及
- 人工知能(AI)とデータ分析の進歩
- ソーシャルメディアプラットフォームの革新と変化
これらの要素をPEST分析を通して洞察し、それを踏まえたWebブランディング戦略を策定することが重要です。外部環境の理解を深めることで、ブランドが直面するリスクを最小限に抑え、新たな機会を捉えることが可能になります。
デジタル世界でのビジネスの成功は、周囲の環境を敏感に察知し、それに応じて進化し続ける能力といってもいいかもしれません。
PEST分析例:弊社のリブランディング時に作成したPEST分析を解説
昨年、フィールビーでは自社のリブランディングを行いました。その際に実施したPEST分析を解説していきます。 それぞれの項目でリスクと機会に分けてリストアップ。 その内容から、自社が置かれている外部環境を深く認識することできました。
政治的要因
[リスク]
データ保護法の変更:
国内法の変化により、企業が保有するデータの管理や使用に対する規制が強化される可能性があります。
(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号) )
消費者保護法の強化:
広告やマーケティング活動に対する規制が強化されると、企業の活動範囲が制限される可能性があります。
( 2023年10月1日施行 消費者裁判手続特例法改正)
労働法の変更:
労働法の変更は、企業のコスト構造や業務運営に影響を与える可能性があります。
(月60時間超割増率引き上げ 2023年4月1日中小企業にも適用)
(建設業における時間外労働の上限規制 2024年4月より建設業にも適用)
[機会]
デジタル化を推進する政策:
政府がデジタル化を推進する政策を進めて、企業は補助金や税制優遇を利用してデジタル化を進めることが可能になる。
(デジタル超のデジタル社会の実現に向けた重点計画 https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program/ )
SDGsな政策:
政府が環境にやさしい政策を推進し、企業はこれに合わせたブランディングを行い、社会的な評価を上げることができる。
(経済産業省 SDGsアクションプラン2022 )
新興産業への投資支援:
政府が新たな産業や技術に投資を奨励する政策を取っている場合、企業は新たなビジネスチャンスを見つけることができる。
( 経済産業省 スタートアップ支援策)
[まとめ]
消費者保護や労働法の変更により、企業活動が制限される可能性がある。
政府の政策や支援策をチェックし、補助金など積極的に活動することが有効。
経済的要因
[リスク]
経済状況の変化:
経済状況が悪化すると、企業の収入や利益が減少する可能性があります。
金利や税率の変動:
金利や税率の変動は、企業のコストやキャッシュフローに影響を与えます。
人件費の増加:
最低賃金の上昇などにより、人件費が増加する可能性があります。
[機会]
経済成長:
経済が成長すると、消費者の購買力が増え、企業の収入や利益も増加する可能性があります。
低金利環境:
低金利環境では、資本を借り入れて投資を行うコストが低くなります。
政策による産業振興:
政府の産業振興策により、特定の産業や市場でビジネスチャンスが生まれる可能性があります。
( 経済産業省 スタートアップ支援策)
[まとめ]
経済動向を見極めながら事業戦略を調整し、金利や税率のリスクを管理しつつ、人件費のコントロールと効率化を行う必要がある。
社会的要因
[リスク]
消費者の価値観の変化:
消費者の価値観や嗜好が変化すると、企業の製品やサービスの需要が減少する可能性があります。
(リモートワークと在宅勤務)
人口構成の変化:
高齢化や出生率の低下などにより、市場の規模や需要が減少する可能性があります。
( デジタルネイティブの世代が消費者の主力に)
社会的な問題への高まる関心:
企業の社会的責任やエシカルな行動が求められるようになり、その要求に応えられない企業は評価を下げる可能性があります。
(サステナビリティと環境意識の高まり)
[機会]
新たな消費者ニーズ:
消費者のライフスタイルの変化や新たな価値観に基づいて、新しいニーズが生まれる可能性があります。
人口構成の変化:
高齢者向けや子ども向けなど、特定の人口群に対応した製品やサービスを開発することで新たな市場を開拓できます。
( 少子高齢化)
社会的価値の創造:
社会的問題を解決する製品やサービスを提供することで、社会的価値を創造し、企業の評価を上げることができます。
[まとめ]
消費者の価値観やニーズを敏感にとらえ、スピーディーに事業に反映すること。
技術的要因
[リスク]
デジタル化の進展:
デジタル技術が進展することで、新たな競争者が現れ、業界の競争環境が変化する可能性があります。
(ブロックチェーンやAI )
サイバーセキュリティの問題:
デジタル化が進むにつれて、サイバーセキュリティの問題が増え、企業のリスクが増大する可能性があります。
(サイバー攻撃による企業の信頼性の喪失)
技術的な障壁:
テクノロジーの急速な変化に適応できない企業は、競争力を失う可能性があります。
[機会]
デジタルトランスフォーメーション:
AIや機械学習、クラウドコンピューティングなどの新しい技術を活用して、業務をデジタル化し、効率性と生産性を向上させることが可能です。
( AIや機械学習、クラウドコンピューティング)
データドリブンな意思決定:
ビッグデータとデータ分析を活用することで、より精密な市場調査や意思決定が可能になり、ビジネスの成功確率を高めることができます。
(ビッグデータとデータ分析)
カスタマーエクスペリエンスの改善:
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などのイマーシブな技術を使用することで、より豊かなユーザーエクスペリエンスを提供し、ブランドの魅力を高めることができます。
(AR/VR)
[まとめ]
新技術の導入とデータセキュリティ対策を進め、データドリブンな意思決定と顧客体験向上を目指す。
以上が、弊社のリブランディングの際に行ったPEST分析となります。 この結果を基に、ブランディング戦略を進めていきました。このように、多くの時間を自社について考えるために使い、産みの苦しみを感じながらも、自己再発見という成果を得ることができました。
自分たちの価値とアイデンティティを見つめ直す過程は、予想以上に難しいものでしたが、新しいいフィールビー発見することができました。
まとめ
PEST分析は、外部環境の複雑な要素を理解し、それを活用してWebブランディング戦略を強化するための強力なツールです。政治的、経済的、社会的、技術的な要因を考慮することで、市場の変化に柔軟に対応し、ブランドの競争力を高めることができます。
ぜひ、みなさんもPEST分析を行って、今の外部環境を深く検証してみてはいかがでしょうか?