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サステナビリティ
【Webブランディングとサステナビリティ】その1
2024.12.20
- サスティナビリティ
- 企業ブランディング
20世紀の企業ブランディング(企業価値創造)は、ロゴの刷新やコーポレートスローガン(タグライン)の策定、ミッションの定義など、企業改革の姿勢を世に示すことがメインでしたが、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDSs)の後継として2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)により、「サステナビリティ(持続可能性)」が重要なキーワードになりました。
21世紀の企業経営に求められる「地球・社会の持続可能な開発」への貢献と、「企業の持続的成長」の2軸の視点が、企業評価の大きなものさしとなっていく今、サステナビリティに関するキーワードを理解することが企業ブランディングの近道となります。
【サスティナビリティキーワード解説】:サステナビリティ経営
サステナビリティ経営とは何か。実現するためには何が必要で、どう設定するのか
営利組織である企業は、経営の維持・存続・成長を果たしていくことが社会的責任でしたが、現代はそこに「持続可能性」という新たな評価・価値観が加わり、企業は事業活動を通して、地球・社会課題の解決に寄与・貢献していくことが求められています。
企業活動と社会課題解決を両立させ、さらに選ばれ続ける会社であるためには、サステナビリティとブランディングを統合させた「サステナブル・ブランディング」が必要で、それは企業戦略メソッドとして非常に重要です。
国内外の企業、様々な分野でサステナビリティに重きを置く動きが見られますが、会社経営にもサステナビリティに配慮した経営「サステナビリティ経営」が求められるようになりました。企業が事業を長期継続させていくためのサステナビリティ経営は、「環境負荷への対応」「消費者のニーズの変化」「従業員・ステークホルダーの意識変化」などに敏感でなければなりません。
企業は事業戦略に、環境・社会問題の解決などのサステナビリティ要素を融合させながら、自社の強みや持ち味を活かして資源を投入。そこから差異化が生まれ、競争力がつくことで、社会からの信用と信頼を得ることができ、企業の価値向上に繋がっていきます。さらに、企業価値が高まることで、ブランドイメージがアップし、就職活動でも優位になるなど、人材確保を含めて、様々なメリットがもたらされます。
企業活動に関わる多くの人々が「持続可能性」に注目していますが、環境や資源を守りながら、健全で公平な社会活動をしつつ、良好な経済活動を続けるサステナビリティ経営戦略は、時間軸が長期にわたります。
環境・社会問題など長期的な変化に対応するサステナビリティ経営は、予想がある程度可能なので、企業の事業継続リスクに備えることにも通じます。現在、大きな社会問題になっている「エネルギーや資源の調達」のリスクなども、サステナビリティ経営視点から見れば、新たな事業やサービスを生み出すきっかけにも繋がるでしょう。
サステナビリティ経営策定には、これまでの事業活動の見直しや変革の視点も不可欠で、コストや労力がかかることは必須ですが、長期的スパンでの変化に対応できる経営・事業戦略を俯瞰的に考えることができるので、企業にはサステナビリティ経営に取り組むことの意義やメリットが大いにあります。
企業成長の新たな起爆剤として捉えるサステナビリティ経営。強い意志をもって企業の変革をリードすることが、時代の波や変化を乗り越える大きなポイントになっていきます。
【サスティナビリティキーワード解説】:カーボンニュートラル
大手企業が企業広告としてテレビCMなどで打ち出しはじめた「カーボンニュートラル」。カーボンニュートラルは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、その合計を実質的にゼロ=ニュートラルにすることを意味します。
2020年10月に、日本政府は2050年までに温室効果ガスの出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指すことを宣言しましたが、2022年10月に世界気象機関(WMO)は、主要な温室効果ガス、二酸化炭素(CO2)の2021年の世界平均濃度が観測史上最高を更新したと発表しました。主な原因は石炭・石油・ガスなどの化石燃料の利用が要因ですが、産業革命前の約1.5倍にも上っているそうです。この統計は2021年のものなので、ウクライナ情勢や長引くパンデミック、原子力発電所の稼働状況などで、ますます悪化するものと予測されます。
世界中の異常気象や北極の氷河・氷床の減少は、気候の年間変動と人間の活動が原因で起こる大気中の二酸化炭素濃度の増加による温暖化が密接に関係していて、地球の気温は1850年以降上昇を続けています。
温暖化問題で頻出するキーワードの一つが「パリ協定」で、これは2015年12月にパリで開催された「COP21」で成立したもので、国際社会全体で温暖化対策を進めていくために、「世界の平均気温上昇を、産業革命前と比べて2℃以下に保ち、1.5℃に抑える努力をする」という国際的な枠組みです。国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)や、上記の日本政府の宣言などもこのパリ協定を踏まえたものですが、昨年度のWMOの報告を見るとおり、世界各国は脱炭素社会の実現に向けて進んでいるとはいえません。
温暖化対策としては、世界的な電気自動車への転換や、太陽光発電・洋上風力発電・地熱発電、バイオマス、水素エネルギーなどの活用などが挙げられます。実際、台湾は原発全廃に向けた行程を進めていますが、グリーンエネ開発として地熱発電所の稼働が始まったそうです。
日本を始めとする先進国でも、公共交通機関の利用促進や、エアコンの温度調節、LED電球への変更などで二酸化炭素の排出の抑制をライフスタイルレベルで提唱・実践していますが、世界的な視野に立つと、途上国を中心に今後爆発的な人口増加が予測され、それによる二酸化炭素の排出量は、パリ協定をはるかに凌駕するとも言われていて、非常に難しい問題となっています。
企業もカーボンニュートラルを知らずして事業に取り組むことは困難な時代。「脱炭素社会」の実態を注視しながら、将来世代も安心して暮らせる「持続可能な経済社会」の実現に目を向けましょう。