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サステナビリティ
サステナビリティとは(パリ協定・COP15)
2025.02.21
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サステナビリティキーワード解説:パリ協定

気候変動問題を解決するうえで、重要なキーワードの「パリ協定」。2015年11月30日から12月13日までフランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」が採択され、2016年に発効しました。
パリ協定は、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めで、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の目標が掲げられました。同時期の2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標13「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動やその影響を減らすための具体的な対策を考え、今すぐ行動すると定められ、世界の気候変動への取り組みが加速していきました。
世界に視野を広げると、熱波や干ばつ、集中豪雨、大型台風、寒波など、世界中で常に自然災害が起こっていますが、それらがもたらす影響は、農業や水産業などの一次産業や、飲み水の確保、エネルギー問題などあらゆる分野に及んで、暮らしに深刻な被害をもたらしています。このような自然災害は、地球温暖化が引き起こすさまざまな気候の変化(気候変動)が要因となり引き起こされるといわれています。
パリ協定は、1997年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議で採択された気候変動枠組条約に関する議定書「京都議定書」に代わるもので、パリ協定は先進国・途上国関係なく、すべての国で共通する目標とされ、地球温暖化対策における基本方針です。
「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ために、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとることも目標です。
歴史上初めてすべての国が参加する公平な合意で、すべての締結国に目標の策定・提案が義務づけられているパリ協定ですが、2015年に提出された削減目標を見てみましょう。
- 日本:2030年度に2013年度比28%減(2005年度比25.4%)
- 中国:2030年までにGDP当たりCO2排出量60~65%減(2005年比)/2030年前後がCO2排出量のピーク
- インド:2030年までにGDP当たり排出量33~35%減(2005年比)
- アメリカ:2025年に26~28%減(2005年比)28%削減に向けて最大限に取り組む
- EU:2030年に40%減(1990年比)/再エネ比率を32%まで増加/エネルギー消費量をBAU比で32.5%削減
この削減目標の一番の問題は、目標時期と数字の設定が各国バラバラなので、比較が難しいところ。中国やインドはコロナ禍を経ても人口は増えつづけ、ウクライナ紛争などでエネルギーは依然火力発電頼りであることなど、複合的な要因が複雑に絡み合っていきます。 また、根本的な問題として、「地球温暖化が進行しているかどうかの化学的根拠がない」「地球温暖化が進んでいたと仮定してもCO2由来という化学的根拠がない」という意見や、人口増加を続けるブラジル、インドネシア、アフリカ諸国などは、経済発展や生活の利便性などを理由に、CO2を本気で減らすつもりはないとも言われています。途上国がパリ協定に参加しているのは、たとえば当時の安倍総理が首脳会合に出席し、日本から2020年に現状の1.3倍となる約1.3兆円の途上国向け資金支援を発表するなど、多額な援助が期待できるからというのも実情です。
サステナビリティキーワード解説:生物多様性(COP15)

1年間に4万種もの生き物が絶滅している現状の先にある、人類存亡の危機
「生物多様性」という言葉をよく聞くようになりましたが、今、生物多様性は世界的規模で危機的な状況にあり、地球温暖化と並ぶ深刻な地球環境問題として注目されています。地球では人間と動物、植物、昆虫などさまざまな生き物がお互いに繋がりながら生きていますが、その繋がりを「生物多様性」といいます。
たくさんの生き物が繋がりながら、地球の豊かな生態系が保たれていますが、生物多様性は、「生態系の多様性=山・川・海・町など多様な自然環境」「種の多様性=動物、植物、昆虫などの生き物」「遺伝子の多様性=色・形・模様などさまざまな個性」の3つの多様性から成り立っています。 人間は、日々、生物多様性の恩恵を受けながら豊かな暮らしを送っている反面、人間の生活は生物多様性にさまざまな影響を与えているのも事実です。今、地球上には約175万種の生き物がいるといわれていますが、人間の経済活動の影響により、1年間に4万種もの生き物が絶滅しているといわれています。
- 開発や乱獲などの人間活動による生態系の破壊、種の減少・絶滅
- 里地里山の手入れ不足など人間の働きかけの減少による影響
- 外来種や化学物質などの持ち込みによる生態系のかく乱
- 温暖化など地球環境の変化による生息環境の悪化
以上の生物多様性に関する4つの危機はいずれも人間がもたらしているもので、現在のスピードで生き物が絶滅を続けていくと、その先には人類存亡の危機が待ち受けます。
2022年12月7日から19日まで、カナダ・モントリオールで国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が開催され、生物多様性の新しい世界的な枠組み「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global biodiversity framework)」と、2030年までの行動目標「昆明・モントリオール2030年目標」が採択されました。
COP15は、153の締約国・地域のほか、関連機関、市民団体などから約16,000人が事前登録し、9,472名が参加。日本政府からは、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び金融庁からなる代表団が出席しました。
採択された同枠組では、生物多様性の観点から、2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」が主要な目標の一つとして定められ、「環境への栄養分流出を半減、農薬リスクを半減」、「食料廃棄を半減する」など数値目標も制定。ビジネスにおける生物多様性の主流化などの目標も採択されました。