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サステナビリティ

サステナビリティとは(ダイバーシティ・エシカル消費)

2025.02.28

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20世紀の企業ブランディング(企業価値創造)は、ロゴの刷新やコーポレートスローガン(タグライン)の策定、ミッションの定義など、企業改革の姿勢を世に示すことがメインでしたが、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDSs)の後継として2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)により、「サステナビリティ(持続可能性)」が重要なキーワードになりました。

21世紀の企業経営に求められる「地球・社会の持続可能な開発」への貢献と、「企業の持続的成長」の2軸の視点が、企業評価の大きなものさしとなっていく今、サステナビリティに関するキーワードを理解することが企業ブランディングの近道となります。

 

サステナビリティキーワード解説:ダイバーシティ

人材採用や経営に不可欠な「ダイバーシティ&インクルージョン」の意味を知ろう

東京・お台場に「ダイバーシティ東京」と名づけられた複合商業施設およびオフィスビルが登場したのは2012年4月。お台場=ダイバーから命名されたかと思いきや、Diversity=多様性とCity=街を組み合わせた造語だそうです。

ダイバーシティという言葉が一気に流行したのは2010年代で、当時は、「女性活躍の推進」「障がい者雇用の推進」を目指すものとして使われていました。ダイバーシティは、直訳で「多様性」を意味する言葉で、現在では、人種・年齢・性別・能力・価値観などさまざまな違いを持った人々が、社会の中の集団や組織で共存している状態を示します。

そんなダイバーシティにいち早く注目し、自身の写真作品でその意味を社会にアピールしているのが、シンガポール出身の写真家レスリー・キー氏。彼は東京をベースとしながら世界中で活躍する一方、人種、国籍、身体機能を超えたダイバーシティをテーマに取り組んでいます。2021年には、多様性がテーマの写真展「WE ARE THE LOVE」を開催したり、ファッションブランドGapと組んでダイバーシティプロジェクトを展開したり、「ファッション撮影は社会への提言の一つ」と語るなど、写真を通して豊かなダイバーシティを表現し、評価を高めています。

ダイバーシティは、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」と語られることもあります。多様性を表すダイバーシティに、インクルージョン=包括・受容を加えることで、「人間の多様性を認めながら、それを受け入れて活かすこと」を意味し、女性の活躍や障がい者の雇用に加えて、外国人雇用の促進、高齢者の活用、LGBTへの理解促進、時短勤務や在宅勤務など多様な働き方制度の整備なども含まれます。

特に、人材採用や経営でダイバーシティを使う場合は、「人材の多様性」を指すことが多く、実際、上記のダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業や団体には、優秀な人材が集まり、社員のモチベーション向上に繋がるなどの成果・効果があるといわれています。 「みんなちがって、みんないい」という個性尊重の代名詞のような言葉が社会に広く浸透している現在、国会でのLGBTに関する政府の発言に違和感を覚える人も多いはず。性別、障がい、国籍、セクシュアリティ、職歴、価値観、ライフスタイル、宗教など、人の目に見えるものから非常にパーソナルな部分まで、あらゆる人が平等に評価される社会を目指さなければなりません。

 

サステナビリティキーワード解説:エシカル消費

いわゆる“意識高い系”が好んで購入するエシカル消費が、新しいマーケットを創出する

よく話題になるZ世代(1996~2012年に生まれた若い世代)は、ステナビリティ・ネイティブと称され、自らの消費行動を通して社会の課題解決に貢献したいという意識が特に高いといわれています。

某セレクトショップに買い物に来たZ世代の男性が、セーターを手に取って、「このセーターを作っている工場では児童労働はありませんか?」と店員に尋ねたという本当にあった話が、この世代の社会や環境のサステナビリティーへの関心の強さを物語ります。

今回のキーワード「エシカル消費」のエシカルは、「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞です。さらに広義に「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いでも語られます。エシカル消費を意識している人は、食品なら無添加を、化粧品は自然由来を、ファッションアイテムはリサイクル品を選んだり、SNSで積極的に発信したり、コミュニティに参加するなど、人や社会・環境に配慮した消費行動を生活の規範としていて、そういう人たちやグループを“意識高い系”と呼ぶこともあります。 消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を目指したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら行う消費活動がエシカル消費(倫理的消費)ですが、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、特に12番目の「つくる責任 つかう責任」に関連するものとしてクローズアップされています。

エシカル消費として注目したい消費行動

  • フェアトレード商品の購入
    適切な労働環境で生産された「フェアトレード商品」の積極的な購入が、途上国の労働者の権利を守る
  • 障がい者施設で製造された商品の購入
    障がい者施設の「就労支援商品」の積極的な購入が、障がい者の自立支援に繋がる
  • 環境に優しい商品の購入
    環境や生物への負荷をできるだけ抑えている製品の継続的な購入が、持続可能な消費に繋がる
  • 資源を効率的に無駄なく使う
    プラスチック消費量を減らす、節水・節電によるエネルギー消費の抑制、食品ロスの軽減など、天然資源の使用を減らす取り組みや廃棄物を減らす活動を行う
  • 地産地消
    地元で生産された商品を扱う地域の店や商店街での買い物は、商品の輸送に必要なエネルギーが少なく、環境に優しい消費行動になる
  • 応援消費
    企業や地域、人そのものを応援するために行う消費活動を行う

上記のような消費は、倫理的には素晴らしいことですが、製造側には手間やコストがかかることが多く、商品価格は高くなってしまう傾向にあります。特にリサイクル品などは価格が高くなり、通常商品とエシカル商品を比べて、安い通常商品の方を選ぶというジレンマに陥ることもあります。

経済的豊かさを享受する先進国の人々が消費の欲望を肥大化する一方で、貧困にあえぐ途上国の人々との格差をなくしていくことが、21世紀の真のエシカル消費ともいえるでしょう。

Fumiaki Tanabe

CEO

企業の価値を最大化する戦略に特化したブランディングとマーケティングのエキスパート。インフラ関連企業や大手製造メーカーから中小企業に至るまで、幅広い業界でのWebブランディング実績をもつ。

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