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サステナビリティ
サステナビリティとは(自然資本・30by30)
2025.03.19
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サステナビリティキーワード解説:自然資本

タダより高いものはない! 「人的資本」と「金融資本」を支えているのが「自然資本」
環境省が出している「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の「平成26年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書」第1部・第3章・第4節「グリーン経済を支える自然資本」の中にこう記載されています。
「私達の暮らしは、食料や水、気候の安定など、「自然」がもたらすさまざまな恵みによって支えられています。これらの自然の恵みを「生態系サービス」と呼んでいますが、それを的確に「はかる」ための世界共通のものさしはありません。」
自然資本は、植物、土壌、空気、水、鉱物、生物資源など、「自然によって形成される資本(ストック)」を指し、この自然資本は長年の間“タダ”もしくはタダ同然とみなされてきました。しかし、地球が直面する気候変動や人口増加、様々な汚染などによって自然が脅かされると、社会や経済にも脅威が及びます。
水や空気を代表とする自然が与えてくれる利益は享受して当たり前のものでしたが、地球の自然が加速度的に消費され、悪化している今、自然環境を生活や企業の経営基盤を支える重要な資本の一つとして捉える「自然資本」という考え方が根づきつつあります。
自然を社会経済を支える資本の一つと位置づける「自然資本」は、その重要性を見落とされてきましたが、2010年10月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)で、「2020年までに生態系が強靱で基礎的なサービスを提供できるよう、生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」との趣旨の新戦略計画「愛知目標(ポスト2010年目標(2011~2020年))」を採択しました。
さらに2022年12月にカナダ・モントリオールで開かれた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までの新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。
日本政府は、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に対応した「生物多様性国家戦略2023-2030(案)」で、2030年に生物多様性などの自然資本の毀損に歯止めをかけ、将来的に回復軌道に乗せる取り組みである“ネイチャーポジティブ”を目指し、生物多様性・自然資本(=地球の持続可能性の土台・人間の安全保障の根幹)を守り活用するための戦略を2023年3月に審議、環境大臣に答申しています。
「生物多様性国家戦略2023-2030(案)」では、生物多様性損失と気候危機の「2つの危機」への統合的対応と、新型コロナウイルス感染症のパンデミックという危機を踏まえた社会の根本的変革を強調。後述する「30by30」目標の達成等の取組により健全な生態系を確保し、自然の恵みを維持回復。そして自然資本を守り活かす社会経済活動(自然や生態系への配慮や評価が組み込まれ、ネイチャーポジティブ(自然再興)の駆動力となる取組)の推進の3つがポイントになります。
サステナビリティキーワード解説:30by30

世界の陸域・海域の30パーセントを保護すると、生物の絶滅リスクが3割減ります
「生物多様性国家戦略2023-2030(案)」では、「30by30」目標の達成等の取組が明記されていますが、30by30は“サーティ・バイ・サーティ”と読みます。これは「2030年までに国土の30%を自然環境エリアとして保全」することを指します。
国土面積の30%まで保護区を拡大すると、維管束植物(シダ植物および種子植物)・脊椎(せきつい)動物種の相対絶滅リスクを7割減する効果が見込めるといわれています。
日本の国立公園や自然環境保全地域などの保護区は国土面積の20%で、相対絶滅リスクを4割低減するとされ、「30by30」目標には10%足りませんが、さらに10%の保護区を増加できると、相対絶滅リスクをさらに3割減する見込みがあります。
30by30目標が達成されると、生物多様性保全の動きが前進し、社会経済を支える健全な生態系が確保。脱炭素やサーキュラーエコノミー(循環経済)などさまざまな側面で効果が期待できます。
2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、2020年までに陸域の17%、海域の10%を保護地域等として保全する「愛知目標」を採択していますが、2021年時点で、日本の保全状況は、陸域20.5%、海域13.3%と目標をクリア。しかし、世界全体では部分的な目標達成にとどまっています。
そして、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、2030年までに陸と海の30%以上を保全するという目標「30by30」が示されましたが、それに先立ち、2021年6月のG7サミットで、G7各国は自国での30by30を約束しています。
環境省が公表した「30by30ロードマップ」では、国立公園など保護地域の拡張に加え、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)に関する具体的な取り組みとして、企業の森や里地里山のような土地を環境省が「自然共生サイト(仮称)」として認定する仕組みを立ち上げ、2023年には100地域以上を認定していくことを目指しています。 保護地域の拡張は必須ですが、個人による環境配慮型の消費行動や、生態系の質を高める行動への参加なども求められ、地域や企業とともに「生物多様性の保全」に取り組むことも目標達成に必要です。