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サステナビリティ

サステナビリティとは(サステナブルファイナンス・タクソノミー)

2025.03.21

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サステナビリティキーワード解説:サステナブルファイナンス

持続可能な社会作りを支える資金の流れが「サステナブルファイナンス」。“グリーン”カラーのお金は世界を救えるか

「持続可能な社会作り」というと、特に日本では行政からの資金・支援がほとんどでしたが、サステナビリティの意識や行動が社会に根づくほど、「いかに民間の資金を、世界的に頻発する気象災害や、貧困・健康・経済格差などの社会的課題の解決のために使えるか」が国際的な議論の中心になってきました。

いわゆる「サステナブルな経済活動」は、従来の消費主導の経済活動や社会のあり方を大きくシフトチェンジするものです。サステナブルな経済活動が目指すところは、自然環境や生態系を経済活動によって壊すことなく、地球の限りある資源を次世代まで残し、豊かで平和な生活が持続できる未来へと導くことです。そのためには、持続可能な社会を実現するための金融の推進は不可欠で、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択などとしっかりリンクしながら、新たな産業創出や社会構造の転換を促していかねばなりません。

日本のサステナブルファイナンスは、2020年12月に金融庁が「サステナブルファイナンス有識者会議」を設置したことに始まり、サステナブルファイナンスを「持続可能な経済社会システムを支えるインフラ」と位置づけました。有識者会議での議論に基づいて金融庁は、企業開示の充実や市場機能の発揮、金融機関の機能発揮などの施策に取り組んでいます。

サステナブルファイナンスは、“環境・社会・ガバナンス”のいわゆるESG慣行に則ったプロジェクトに融資することを指しますが、世界のサステナブルファイナンス市場は、約3兆6,500億米ドル(2021年)と評価され、2029年までの予測値として20.1%以上の健全な成長率を予想しています。

国内のサステナブルファイナンスでは、2022年12月9日付けの金融庁資料によると、サステナブルファイナンスの推進の取り組みとして、「官民による150兆円のGX(グリーントランスフォーメーション)投資実現に向けてサステナブルファイナンス推進策を進め、トランジション/イノベーション・ファイナンスの更なる拡大を図る」と記しています。

サステナブルファイナンスは、有害化学物質や企業の環境情報の開示などの「規制」を通じて、世界の産業界に影響を及ぼしてきた欧州連合(EU)が牽引。EUは2016年にサステナブルファイナンスについて検討するハイレベル専門家グループを設置し、2018年には「サステナブルとは何か」を明確にする「サステナビリティ・タクソノミー」を策定。2019年に400ページを超える「EUタクソノミーに関する技術報告書」が公表され、持続可能な投資対象の条件が定められました。 社会経済活動を支える通貨には色は付いていませんが、これからは“グリーン”色のお金が世界中に流通して、持続可能な社会を作っていく推進力になっていきます。

サステナビリティキーワード解説:タクソノミー

世界をリードする「EUタクノソミー」を基に、EU圏外の国でも独自のタクソノミー案が考案されています

「サステナビリティ・タクソノミー」のタクソノミー(taxonomy)とは、本来的に生物学で「分類」を意味する用語で、サステナブルファイナンスの対象となる、持続可能性に貢献する経済活動を分類・列挙したものが、金融関係におけるタクソノミーとなります。

「今、何がサステナブルなのか、何をもってグリーンであるのか」の基準となり明確化させるタクソノミーは、投資家が投じる資金や企業の設備投資を集中させる効果があると同時に、環境に配慮しているかのように装う“グリーン・ウォッシュ”を排除するメリットもあります。また、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組みに特化した資金調達債券のグリーンボンド(Green Bond)を発行する際、資金使途の対象事業がそのタクソノミー(分類)に該当すれば「適格性」が認められ、投資家らがグリーンな事業に資金が投じられているかどうかを簡単に判断できる材料になります。

金融におけるタクソノミーとは、脱炭素社会の実現に向けて欧州連合(EU)が2020年に「EUタクノソミー」という分類枠組みを公表し、2022年から本格的に適応させることから注目されました。EUタクノソミーはもちろんEU域内のタクソノミーですが、世界に先行したタクソノミーとして大きな影響力を持っています。

EUタクノソミーは、気候変動の緩和など6つの環境目的と4つの適合用件を定義し、1つ以上の環境目的に貢献することをサステナブルな経済活動の要件と定めています。

2021年末に発効した委員会委任規則2021/2139では、エネルギー、運輸、製造業など9つのセクター、計88種類の経済活動を対象に、気候変動の緩和への貢献に関するスクリーニング基準を設定。これらの経済活動は、「気候変動の緩和に貢献する活動」、「気候変動の緩和への貢献を可能にする活動」、「トランジショナル(移行に関する)な活動」の3つに区分されています。 世界各国が気候変動対策の強化に大きく舵を切る中で、その具体的な目標達成に向けての資金誘導という観点からも重要視されているサステナブルファイナンス。「タクソノミー」による分類は、グローバルな企業活動に強く影響を及ぼすものです。

 

Fumiaki Tanabe

CEO

企業の価値を最大化する戦略に特化したブランディングとマーケティングのエキスパート。インフラ関連企業や大手製造メーカーから中小企業に至るまで、幅広い業界でのWebブランディング実績をもつ。

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